【道路補修のプロに学ぶ】切削オーバーレイとは?アスファルト舗装の寿命を延ばす専門技術を徹底解説

私たちが毎日何気なく利用している道路。安全で快適な走行は当たり前のように感じられますが、その裏側では、道路も人間と同じように少しずつ「老化」が進んでいます。表面に無数のひび割れ(クラック)が入ったり、大型車の通行でわだちが掘れてしまったり…。


こうした道路の「老化」を放置すれば、大きな事故の原因にもなりかねません。その状態を診断し、適切に治療することで道路を若返らせるのが、私たちの仕事である「道路補修工事」です。


そして、数ある補修工事の中でも、特に効率的で質の高い仕上がりを実現する代表的な工法が「切削オーバーレイ」です。この記事では、道路補修のプロフェッショナルが使うこの専門技術について、その仕組みからメリット、仕事のやりがいまで、分かりやすく徹底解説します。


なぜ道路の補修は必要なのか?社会インフラを守る使命

そもそも、なぜ定期的な道路の補修が必要なのでしょうか。それは、道路が私たちの暮らしと経済に欠かせない、極めて重要な社会インフラだからです。現在、日本中の多くの道路が高度経済成長期に造られ、建設から数十年が経過。「インフラの高齢化」が社会問題となっています。劣化した道路を計画的に補修・修繕していくことは、未来の日本にとって非常に重要な使命なのです。


日々の交通の安全を守るために

路面のひび割れや凹凸は、スリップやパンクの原因となり、重大な交通事故に直結します。また、雨天時には水たまりができやすく、歩行者への水はねや、ハイドロプレーニング現象を引き起こす危険性も高まります。道路を常に平坦で安全な状態に保つことは、人々の命を守ることに直結する、責任ある仕事です。


日本の経済活動を支えるために

道路は、物流トラックや営業車、通勤・通学の足として、日本の経済活動を支える大動脈です。道路が傷み、通行止めや速度規制が発生すれば、経済に与える損失は計り知れません。道路の機能を健全に維持し続けることは、地域社会の発展と、日本全体の経済を支える上で不可欠な役割を担っています。


「切削オーバーレイ」とは?その仕組みを3ステップで解説

それでは、この記事の主役である「切削オーバーレイ」工法について、具体的に見ていきましょう。一言でいうと、「古くなった道路の表面を薄く削り取り、その上から新しく舗装を重ねる」技術です。言葉にするとシンプルですが、そこにはプロの技が詰まっています。


ステップ①:【削る】路面切削機で古い舗装をミリ単位で削り取る

まず、大型の「路面切削機(せっさくき)」という専門機械を使って、傷んだアスファルト舗装の表面を計画した深さで正確に削り取ります。騒音や振動を抑えながら、ミリ単位での精密な作業が求められる、熟練の技術が必要な工程です。削り取られたアスファルトの廃材は、この後の工程で大切な資源として生まれ変わります。


ステップ②:【きれいにする】清掃と接着剤の塗布(タックコート)

古い舗装を削り取った路面は、高圧の空気やブラシで丁寧に清掃し、砂やホコリを完全に取り除きます。その後、新しい舗装と古い路盤がしっかりと接着するように、「タックコート」と呼ばれる乳剤(アスファルトと水を混ぜた液体接着剤)を均一に散布します。この工程を丁寧に行うかが、新しい舗装の寿命を大きく左右します。


ステップ③:【新しく舗装する】アスファルトを敷き、締め固める

いよいよ仕上げです。「アスファルトフィニッシャ」という機械で、高温のアスファルト合材を均一な厚さで敷きならしていきます。その後、まだ熱く柔らかいうちに、様々な種類のロードローラを使って、決められた密度になるまで何度も締め固めていきます。こうして、平坦で美しい新しい道路が誕生するのです。


ただ重ねるだけじゃない!切削オーバーレイの3つの大きなメリット

古い舗装を削らずに、そのまま上から新しい舗装を重ねるだけの工法もあります。では、なぜわざわざ「削る」というひと手間をかけるのでしょうか。それには、道路の品質と環境を守るための、大きな理由があります。


メリット①:道路の高さを変えずに補修できる

もし削らずに舗装を重ね続けると、道路の高さがどんどん上がってしまいます。すると、歩道との段差が大きくなったり、マンホールの蓋が沈んでしまったり、沿道の家や駐車場の入口に段差ができてしまったりと、様々な問題が発生します。削ることで、元の道路の高さを維持したまま、きれいにリニューアルできるのです。


メリット②:古いアスファルトを資源として再利用できる

ステップ①で削り取ったアスファルトの廃材は、専門のプラントに運ばれ、新しいアスファルト合材の材料としてリサイクルされます。限りある天然資源(骨材や石油)の使用を減らし、環境負荷を低減する、サステナブルな社会の実現に貢献する非常にエコな工法です。


メリット③:ひび割れの再発を防ぎ、耐久性が向上する

傷んだ部分を根本から取り除いてから新しい舗装をかぶせるため、下からひび割れが再び発生する「リフレクションクラック」という現象を防ぐことができます。結果として、ただ上から重ねるだけの工法よりも、補修後の道路が格段に長持ちし、長期的なコスト削減にもつながります。


道路補修のプロになる「やりがい」とは?

専門的な技術である「切削オーバーレイ」。この技術を身につけ、道路補修のプロとして働くことには、どのような魅力があるのでしょうか。


地域の”当たり前”の日常を守るという誇り

道路補修の仕事は、決して派手な仕事ではないかもしれません。しかし、自分が手掛けた道路を、毎日多くの人々や車が安全に利用してくれる。それは、地域の「当たり前の日常」を自分たちが支えているという、大きな誇りと責任を感じられる瞬間です。完成したきれいな道路を眺める時の達成感は格別です。


一生モノの専門スキルが着実に身につく

路面切削機やアスファルトフィニッシャといった大型機械の操作や、アスファルトの品質管理など、道路補修には専門的な知識と経験が求められます。経験を積めば積むほど、自分の技術が向上していくのが実感できます。これは、AIやロボットには簡単に真似のできない、まさに「手に職」と言える一生モノのスキルです。



【まとめ】

今回は、道路補修工事の代表的な工法「切削オーバーレイ」について解説しました。


ただ道をきれいにするだけでなく、高さを維持し、環境にも配慮し、より長持ちさせるという、多くのメリットを持つ専門的な技術です。日本のインフラが高齢化する中で、こうした維持修繕の技術を持つプロフェッショナルの需要は、今後ますます高まっていくでしょう。


多久建設では、公共工事の一環として、こうした地域の交通インフラ維持に欠かせない、専門的な修繕・改良工事を数多く手掛けています。社会を支えるプロの技術を、私たちと一緒に身につけませんか?


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