車で走っている時、ふと気づくことはありませんか?「いつも走っている道は黒いのに、高速道路のトンネルの中は白っぽいな…」と。
私たちの足元を支える道路の舗装には、主に黒い「アスファルト」と、白い「コンクリート」の2種類が存在します。普段何気なく目にしていますが、この二つ、実は性質も用途も全く異なる、似て非なるものなのです。
なぜ場所によって使い分けられているのか?どちらのほうが優れているのか?
この記事では、そんな道路の素朴なギモンに、土木のプロがお答えします。それぞれの特徴から施工方法の違いまでを徹底的に比較解説。読めばきっと、いつもの道が少し違って見えてくるはずです。
まずは基本から!アスファルトとコンクリート、それぞれの正体
見た目の色が違う二つの舗装。その原料は、根本から異なります。それぞれの「正体」を知ることが、違いを理解する第一歩です。
黒い「アスファルト舗装」の正体
アスファルト舗装は、砂利や砂、石粉などを「アスファルト」で混ぜ固めたものです。この主役であるアスファルトは、原油を精製する過程で得られる、黒くて粘り気のある炭化水素。身近なもので例えるなら、道路のひび割れ補修などに使う黒いゴムのような材料の仲間です。熱を加えると柔らかくなり、冷めると固まるという性質を持っています。一般的に「道路」と聞いて多くの人がイメージするのが、このアスファルト舗装でしょう。
白い「コンクリート舗装」の正体
一方、コンクリート舗装は、砂利や砂を「セメント」と「水」で混ぜ合わせて作られます。セメントと水が化学反応(水和反応)を起こすことで、時間とともにガチガチに固まっていくのが特徴です。アスファルトのように熱で固めるのではなく、化学の力で固まる、全く別のアプローチで作られています。建物の基礎やダムなどにも使われる、非常に頑丈な材料です。
【徹底比較】メリット・デメリットで見るアスファルト vs コンクリート
それぞれに長所と短所があり、どちらが一方的に優れているというわけではありません。だからこそ、場所によって巧みに使い分けられています。両者の特徴を表で比較してみましょう。
このように、特徴はまさに対照的。例えば、交通量の多い道路を短期間で完成させたいならアスファルト。費用はかかっても、一度作ったら長期間補修したくない場所ならコンクリート、といった使い分けが考えられます。
なぜ場所によって違う?舗装の使い分け具体例
メリット・デメリットが分かったところで、実際の場所ではどのように使い分けられているのか、具体例を見ていきましょう。
【多くの一般道】なぜアスファルト?
街中のほとんどの道路がアスファルトなのは、「施工の速さ」と「補修のしやすさ」が大きな理由です。交通規制の時間を短くでき、工事完了後すぐに車を通せます。また、地下には水道管やガス管が埋まっており、それらのメンテナンスで道路を掘り返す必要が頻繁に生じるため、部分的な補修が容易なアスファルトが適しているのです。
【高速道路のトンネル内】なぜコンクリート?
トンネル内では、火災が発生した際にアスファルトのように熱で溶けて燃えることがなく、安全性が高いコンクリートが使われます。また、白い路面は照明の光を反射しやすく、トンネル内を明るく保つ効果もあります。頻繁に補修工事ができない場所だからこそ、初期費用が高くても長持ちするコンクリートが選ばれるのです。
【ガソリンスタンドやバス停】なぜコンクリート?
ガソリンスタンドでは、アスファルトが苦手とする「油」に強いコンクリートが最適です。また、バス停のように、バスが毎回同じ場所で停車・発進を繰り返す場所では、アスファルトだと夏場に熱で柔らかくなり、タイヤで「わだち」ができやすくなります。そのため、変形しにくい頑丈なコンクリートが採用されることが多いのです。
知ると面白い!施工方法もこんなに違う
原料や特徴が違えば、もちろん作り方も異なります。ここにもプロの技術が詰まっています。
アスファルト舗装:「熱して、敷いて、固める」
アスファルト舗装は、プラントで高温に熱せられたアスファルト合材をダンプトラックで現場に運び、「アスファルトフィニッシャ」で敷きならし、ロードローラで締め固める、というスピーディーな工事が特徴です。湯気が立ち上る熱々の現場で、チームワークよく作業を進めていきます。
コンクリート舗装:「流し込み、養生して、固まるのを待つ」
コンクリート舗装は、まず「型枠」を設置し、そこに生コンクリートを流し込みます。その後、表面を平滑にならし、コンクリートが化学反応で硬化するのをじっくりと待ちます(養生)。固まるまでに数日〜数週間かかることもあり、アスファルト工事とは全く違う、時間をかけた丁寧な品質管理が求められます。
【まとめ】
黒いアスファルトと、白いコンクリート。二つの舗装の違い、お分かりいただけたでしょうか。
どちらかが優れているわけではなく、それぞれの長所と短所を深く理解し、場所や目的に応じて最適な工法を選択する。これこそが、私たち土木技術者の専門性であり、仕事の面白さでもあります。
道路を見る目が少し変われば、建設の仕事はもっと面白くなります。
多久建設では、一般的な道路で求められるアスファルト舗装の高い技術はもちろん、特殊な環境で必要となるコンクリート舗装のノウハウも有しています。地域のあらゆるニーズに応えられる総合的な技術力で、社会に貢献してみませんか。